瑞牆山十一面岩正面壁 ベルジュエール→山河微笑 連続登攀


日程:2025年6月13日(夜行日帰り)
メンバー:葉狩、ナベ
形態:マルチピッチクライミング

例会だか会山行だかでハガリンが、遠征に向けて瑞牆で連続登攀をやりたいというのでお付き合いする事に。当然俺は瑞牆のマルチ、というかクラシックの10台なんかオンサイト不能なのでハンドルアッセンダーとロールンロック(?マイクロアッセンダーみたいなやつ)でユマーリングする気満々である。

4時頃 駐車場発
6時前 ベルジュエール登攀開始
13時頃 ベルジュエールを降りて正面壁広場
13時半 山河微笑登攀開始
19時10分頃 山河微笑取り付きへ下降するもザイルが抜けず色々試す
19時40分頃 ザイルが抜けて無事下山開始
20時30分頃 駐車場
21時過ぎ ようやく駐車場発

カム0.2-4番相当2セット+5番+ナッツをハガリンがセレクトし、出発。末端壁の水場が生きてるか不明なので途中の小川で水くみ。末端壁からの登りがシンドい。正面壁下の広場で食料などをデポし、リードは空身、セカンドはBCAA500ミリ、カッパ、アプローチシューズを詰め込んだザックが担ぐシステム。下降用にもう1本ザイルを持ち、セカンドが担ぐと重いので、トップがバックロープで引いていざとなればセカンドのチョンボにも使う作戦。

ベルジュエール1p目 11b ハガリンリード
朝イチから本日最高グレード。壁はあちこち濡れているがここは乾いている模様。6ピン目位だったか?でフォール。ブラインドホールドを探して力尽きたとのこと。下から見ている分には、もう少しウォーミングアップしておけば粘り勝ちできたようにも見えたが、今日は仕方ない。フォローは3ピン目くらいからユマーリング。

ベルジュエール2-3p目 10a ハガリンリード
目の前の小ハングに沿って左上するようだがボルトはなぜか若干右上に打ってある。色々試すが一旦若干右上気味に登ってボルトクリップしてから、クライムダウンも交えつつデリケートなトラバースでハング左のコーナーへ。ハーケンがベタ打ちされているとのことだが…フォール!幸いハーケンは抜けなかった。
フォローしてみたらボルトから先いきなり難しく、バックロープとメインザイルを巧みに操りテンショントラバースしてユマーリング。コーナーはバッチリ効いてるロストアローと、逆打ちのハーケンにクリップしていたが、逆打ちハーケンが止めてくれた模様。その上にようやくトーテム黄色だが、ヌレヌレで厳しそう(?ユマーリングなので基本ムーブを試していない)。ハガリンは体勢的にこのトーテムはメクラでキメたそうで、効いてないと思ったとのこと。回収の際にそこまで決まってないとは思わなかったけど…3ピッチ目はリンク。

ベルジュエール2P目をリードするハガリン。この後フォール。



ベルジュエール4p目 5.9 ナベリード
左側に垂壁、正面にスラブで構成されるコーナーを登る。途中までコーナークラックを辿り、トポに従い途中からスラブに移る。RCCにクリップしてから一応フレークにカムが2つ入ったが、その後はまあまあランナウト。どん詰まりから左トラバースするが、横に生えている木の上から回り込んだためロープが重い。左側の垂壁には短いクラックがありハンドなら楽勝だなと思ったが、ハンドは半分くらいで、途中からシンハンドになってきてオイオイ、いや、オンサイトだから頑張るぞ、と上を見ると広めのフィンガーになっており心を折られてテンション。ハンドハングドックでちょっとだけムーブを起こしてみる。広めフィンガー部分は、クラックがガタガタしているので下手なサムロックでもまあまあ効くが、シンハンドにちょっとしか入らない足を信じられないと登れないように見えた。時間節約のためA0で切り抜ける。

ベルジュエール5p目 10a ハガリンリード
垂壁の迫力あるフレークをハガリン華麗に登る。フォローすると出だしは簡単だが、中間のフレークが張り出している部分が難しく、A0。ここはザックが無ければフォローならフリーで行けたかも知れない。

ベルジュエール6p目 5.8 ハガリンリード
リングボルト1本しかプロテクションが取れないというチムニー。リングボルトの上と下のチョックストーンにカムで取れるが、それよりも濡れてるのがヤバい。フォローはとにかくザックが邪魔!上のチョックストーンから取ったカムでA0。

ベルジュエール7p目 歩き ナベ
右奥の隠れ家的なテラスへ。T字クラックがチラッと見えるが、瑞牆本の通り逆イの字っぽく、左のクラックの方がTに見える。

ベルジュエール8p目 10b ハガリンリード
巨岩のチムニーを登ってからT字クラックへ。ハガリン華麗に突破。トポには、クラックはハンドがよく効くがイの字の上の方は足がないのでパンフ、みたいな事が書いてあるが、核心は抜け口のワイドハンドでの引き付け。体勢が悪くどうしても左逆手になってしまい引き付けられない。ここもA0。今考えるとザックがなければ順手で差せたか?

8P目のT字クラックをリードするハガリン。



ベルジュエール9p目 3級 ナベリード
岩稜歩き。瑞牆本には50メートルとあるが25くらいだった。

ベルジュエール10p目 5.8 ナベリード
正面やや左のクラックに取り付くが出だしがやや難しくコレほんま5.8か?って感じだが、本日全く良いところがないので頑張ってオンサイト…したはいいが、抜け口で取った2番がザイルと干渉してザイルが上がらなくなりセカンドはFIXして登ってもらう。最後まで良いところがなかった…

最終ピッチをフォローするハガリン



下降は瑞牆本の通りだが、出だしのトラバースは高度感がある。また、露岩帯のクライムダウン部分はまあまあ悪い。岩の隙間を抜けるところが、あまりにも狭く最初気付かなかった。
ハガリンは以前ベルジュに取り付いたことがあり、今回は1.2ピッチと8ピッチ目のレッドポイントをしたかったとことだか、8ピッチ目は成功。羨ましい。俺は全く良いところがなかった…とはいえ、概ね予定通りの時間に広場に戻れたのは良かった。腹に食い物を詰めて山河微笑へ。
今度はほば同ルート下降なのでヘッドランプとカッパだけハーネスに小袋等でぶら下げて登ることに。

山河微笑1p目 5.8 ナベリード
濡れているが頑張ってフォーゲットオンサイト(?2018年に1回登っている)。濡れてるし、核心の小ハングトラバース後は脆い部分が多くルーファイもあり、5.8というよりアルパイン4+級と言ったほうが適切かも。

山河微笑2p目 5.8 ナベリード
3本あるクラックのうち一番右の大チムニーへ。出だしは確かチムニームーブで度胸一発。濡れてなくて助かった。その後は傾斜の緩いチムニーの中にもう1本ハンドサイズのクラックが走るダブルクラックになり快適。最後のオフウィズスは傾斜がないので粘っていれなんとかなる。確かここは7年前は5番でA0かましたが、フリーで抜けられた。

山河微笑2P目をリードするナベ



山河微笑3p目 10a ハガリンリード
太い立木からワイドクラック。ハガリンは途中でメットを外して外に出ていた。
フォローすると出だしから難しいが立木をフル活用して突破。ハガリンがメットを外した部分は確かに狭かったが、フォローなら外さずに済んだ。左肩がつかえて抜くのが大変だったが、何とか抜いてワイドクラックの外に出ると楽になるが、その後のコーナー状のクラックは男性だとシンハンドサイズ主体で探さないとハンドが決まらないのでワシワシとは登れない。女性のハガリンはハンドがバシバシ決まったようで、恐ろしい位にランナウトしていた。 以前はここも確かA0連発だったはずで、フォローとはいえフリーで登れて嬉しい。

山河微笑3P目をリードするハガリン。途中からメットを外して腰に付けていた。



山河微笑4p目 3級 ナベ
右の立木を利用して一段上がってからクライムダウンして顕著なクラックへ。(?ここでナベが取り付くクラックを間違えてタイムロス)
ハガリンは上がらずに立木横をトラバースしていた。

山河微笑5p目 10a ハガリンリード
登るクラックからカムでビレイ点を作ると4番を2個とも使ってしまうので、左のクラックから残置のスリング団子とフィンガーサイズのカム2個でビレイ点作成しハガリンがリード。ヒールフック的な右足を起点にうまく体をオフウィズスに入れてスルスルと上がっていったが、その先で悶絶、結構苦労して登っていた。フォローすると、オフウィズスに体いれるところがかなりバランシー&スリリングで、出だしだけに、頭上にカム決めてないと危ない(?ハガリンは昔落ちた事があるらしい)。 入ってしまえばオフウィズスは簡単(?ワイド下手の俺の言うことだから万人にとって簡単と思ってもらって間違いない)。しかし、その先の小ハング?のフィストサイズ部分が難しい。足がない。そして狭い。粘ったがテンション。左差しのワイドムーブを試してみてちょっと進めたが、右足のヒール&トゥがうまく決まらないため、左足を抜けない。諦めて1メートルユマーリング。そこさえ抜けてしまえば後は簡単。

ハガリンが藪でビレイしていたので交代し山賊79黄昏ルート終了点を探す。登ってきた方から見て左側の岩の左側面にボルトがあった。ここからまず3ピッチ目終了点にラッペルし、更に3回の懸垂で取り付きへ。途中キングがあり時間ロス、予定より約40分遅れで取り付きへ戻れた…と思ったらザイルが抜けない!角度つけたりユマールで引っ張ったりしても抜けず、そうこうしているうちに暗くなってしまった。こりゃヘッドランプで登り返しか…と思ったら、ハガリンが思い切り右から引いたら外れた。ナイス!

最後のラッペル。このロープが途中で引けなくなったが、ハガリンのナイスアイディアで引けるようになった。


ヘッドランプで下山開始。最終下山21時のところ20時半に駐車場に到着。セーフやな、良かっ良かった、飯屋開いてるかな…等とギア分けしていたら、「0.2と0.5が無い!」とハガリンがと大騒ぎ。ザックを2回3回とひっくり返し、「服とかと一緒にハーネスにクリップしてしまい下降中に藪に引っかかって落とした」「広場に忘れてきた」等色々な可能性を30分くらい考えたが、結局、持ち上げたのが0.2?4番相当を2セット、で、それが今全部手元にあり、車にも無いということは、そもそも当該カムを今回持ってきていないという可能性が濃厚になり、やっと出発。時間がないためすき家のドライブスルーを利用、それでも危うく終電に間に合わないところであった。そして翌日
「家にありました☆」
と連絡頂いた。

当会では、自分のハーネスをろくに見てもいないのに、「俺のヌンチャクそっち行ってねえ?」と聞いてくるムーブをよく見るが(コレやられると毎回チベットスナギツネになってる)、今回はその一段上を行く、「持ってきていないギアの確認をする(させられる)」という新ムーブが誕生したのであった。
↓チベットスナギツネ


山登魂HPへ