西上州/毛無岩「ボレロ」敗退
日程:2025年
形態:クライミング(本チャン)
メンバー:ナベ、篤、植田
西上州ボロ壁群。ボロさでは高立一本岩が際立っているが、既存ルートの中では再登のない毛無岩「ボレロ」および碧岩北西壁が難易度では頭一つ抜けていると思われる。
そのボレロについに手を付ける日が来た…といっても、もともと2日間で金山沢奥壁行くつもりが、二日目の天気が悪いのでの転進だけど…
まず道場から林道を歩き、いつの間にか沢の中に入る。なぜか篤さんがぶっ飛ばし遥に先行、はぐれる。追いかける気力はないので無視してケルンやピンクテープを追っていくと、いきなりどちらもなくなってしまった。
仕方なしにGPS起動するともう毛無岩の近くまで来ているので、適当に右手の尾根を登ると、毛無岩基部を周遊する踏み跡に出た。篤さんと完全にはぐれてしまったが、とりあえず取付きを探す…全然分からん。そうこうしているうち先行していた篤さんがあとから追いついてきて(彼もピンクテープを見失って迷っていた模様)、一緒に取り付きを探す。
トポにあるガレマークは、このガレではないか?とのサジェスチョンがあり、烏帽子岩直上ルートの取り付きから左に少し進んだ所のガレを詰めてみる。詰めて見て分かったが、基部を周遊する踏み跡は毛無岩本体を周遊しているのではなく、回りの小岩峰を含めて周遊しており、毛無岩本体の基部はこのガレが構成している模様。
出だしのチューブ状ルンゼを見送り、さらにもう1本スラブ上ルンゼを見送って、右奥のスラブ上ルンゼがどうやらボレロらしい。開拓はリッジラインを登ったのち、「美しすぎる」と左手のルンゼ状スラブから巻いてリッジに取り付いているので、我々も巻きラインを選択(というよりリッジのラインはどう考えても無理ライン)。
1P目 52m 3+ スラブ→草付きトラバース→木登り交じりのリッジ ナベ
スラブを登ったのち、右トラバースして木登り。リッジに出ると烏帽子岩のすっきりした岩壁が見え始める。リッジ上にRCCボルトが出てきて、ようやくこれがボレロと核心が持てた。ラインが良く見えそうなところでピッチを切りたかったので無理やりロープを引っ張る(ビレイヤーは、最後少し登ったとのこと)。杉の木でビレイ。
ボレロ巻きライン1P目

2P目 10m 4- スラブ 植田
短いスラブを登ると一旦開拓時のビレイ点。まだ大してロープを出していないのでそのまま右トラバースに入る。草付きバンドをホールドにして、足をスラブにおいてトラバースし始めたが2歩目くらいで足元のスラブが、瓦のように剥離…一旦ビレイ点に集合することにする。
ボレロ2P目

3P目 トラバースをあきらめて直上→敗退 ナベ→篤
トラバースラインはトポによると残置ボルトはあまりなく、フレンズを使用しているようだが、ちょっとこのトラバースはボルトを打ち足さない限り行けそうにない。
ボレロ3P目、恐怖のトラバース

直上を試み、ビレイ点から少し進んで1ピン目ということでリングボルトを叩き込むが、ジャンピング開始から5分くらいで穴が開き、「この岩質、信用できん」とさらに確信する。
ボルト打つので疲れてしまい、一旦クライムダウンし篤さんと後退。篤さんがリングから右上のクラックにカムを決めるが、テスティングしたところあっさり岩の表面が剥離してカムが抜けた。カムが抜けると同時に全員のヤル気も抜けてしまい、敗退決定。
直上を試みるが…

ビレイ点のRCCはまだ生きていたので懸垂。リッジ上の木で一回切って2回の懸垂で取り付き付近へ。懸垂中は開拓時のリッジ直上ルートを観察したが、傾斜強いボロ壁に草付きが大量にトッピングされ、普通は登らないだろう…と言う感じ。温暖化で草付きが増えたんだろう。
下降は登山道を下降するが…とんでもない道だった。登りの沢沿いのピンクテープの方がよっぽどまし。一度間違えてトラロープ頼りに3m程の垂壁(側面に洞窟がある)を登ったら、とんでもない岩稜に出てしまった(登山道はその手前で左に曲がっていた)。普通に死ねます、この道。
下降でワーワー騒いだお陰で、大したクライミングしていないのに意外と充実できた。
なんだこの岩稜は

側面にあった洞窟

登りルート(推測)

ボレロ取り付き概念図

GPS軌道(ガレ沢〜取り付き〜クライミング〜敗退〜下山)

参考記録 開拓・初登時の記録・追憶
https://clubgams.com/kenashi/
https://clubgams.com/wp-content/uploads/2021/05/kenashi.pdf
※PDFは30MくらいあるのでWi-Fi環境推奨
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